岩波書店「図書」5月号を見ていたら、「イナゴか? バッタか?」という柴田 武 氏の文章がありました。イナゴとバッタの違いなのですが、有名なパール・バックの「大地」や旧約聖書に出てくる空を真っ黒にして飛んできてすべてを食べ尽くすというアレはどちらなのか?というわけです。あのムシは恐らくトノサマバッタなのだからイナゴと訳すのはおかしいのではないか、ということから日本の各地ではこのイナゴとバッタをどのように言うか、区別するか、あるいはしないかということに言及しています。
私もちょっと調べてみたのですが、バッタのなかに「イナゴ科」というグループがあるので、やはりこのグループに属するバッタがイナゴで、それ以外はバッタなのでしょう、多分。イナゴはバッタの部分集合なので、イナゴをバッタと呼んでも間違いではないが、イナゴ科以外のバッタをイナゴというのは間違いなのかも知れません。トノサマバッタはイナゴ科には入っていないので、やはり分類学上では「大地」に出てくるのはバッタというべきなのでしょう。
このようにイナゴとバッタは包含関係があるので厄介です。一方、チョウとガ(蛾)はそうではないので区別は簡単なはずなのですが、実際はいまだにかなり混乱しているようです。ここで混乱といったのは日常用語としての区別のことです。分類学上は「アゲハチョウ上科」「セセリチョウ上科」に属する鱗翅目をチョウ、それ以外の鱗翅目をガというのです(多分)。ある昆虫学者が「セセリチョウなんで蛾みたいなものだから、蛾でもよかった」とおっしゃっていたのを聞いたことがあります。よく言われる、昼飛ぶか夜飛ぶか、翅を立ててとまるか、否か、等々の区別はどれも例外があってあまり意味をなさないのですが、小学校の理科あたりではどうしているのでしょう。私のある知人が奥さんのことを(夜の蝶ならぬ)「昼の蛾」と言っていたのを思い出します(^^;)。
日本語では水と湯を別の単語で表現するけれど区別がない外国語もある(英語で「湯」は「熱い水」という)のと同様、チョウとガを区別しない外国語もあるようです。
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