PCM-D1レビュー(I)
SONYのリニアPCMレコーダー、PCM-D1を簡単にレビューしてみます。(合わせてこちらもご覧下さい:PCM-D1レビュー(II) , PCM-D50とPCM-D1の比較)
大きさは今まで使ってきたDATレコーダーTCD-D100の1.5倍といったところ。内蔵のマイクの性能さえよければ、DATのように外付けのマイクを持ち歩かなくてもすむわけで、トータルでは軽くなるかもしれません。それだけにまず内蔵マイクのチェックをしてみました。
セミがいない季節ですし、なかなかフィールドで試すネタがなかったのが残念だったのですが、まず室内で大小10個近いカウベルやテーブルベルを96kHz24ビットのフルスペックで録音してみました。一聴してとても抜けが良く、澄み切った音で生々しく、さすがにダイナミックレンジが広く、申し分がない音です。マイクの前方1.5mで多くのベルをガランガランと盛大に鳴らしてみました(ここをクリック。3MB弱あります)。試しに今まで使用していたSONY ECM-MS957を使って同じように録音して比較してみたところ、こちらの方が感度が低いものの、低音はゆたかに入っていますが、全体に大人しい感じの音になります。ECM-MS957に比べると、PCM-D1の内蔵マイクで録音すると200〜300Hz以下のレベルが低目で、温風ヒーターから出るファンの音にはっきりと違いが出ます。300Hz以上は変わりません。屋外で生録する上では、風や自動車のエンジン音の影響を受けずに済むため有利かもしれませんが、逆に音楽録音では不利になるケースもあるでしょう。このことは録音したWAVファイルをパソコンに取り込み、周波数分析(FFT)しても確かめられました。高音の方は、内蔵マイクもECM-MS957でも45kHz以上まで延びていて、問題はありません。
次にデジタルリミッターの性能をみました。このリミッターは、1チャンネルに2つのADコンバータを搭載していて、ピークを越える音が入力すると20dB低い信号に切り替えるというものですが、この切替えに不自然な音の繋がりが発生しないのか気になったのです。そこで直径10cmほどのカウベルを打ち鳴らしながら内蔵マイクに近づけたり遠ざけたりして試しました。リミッターをOFFにするとメーターが振り切れるような音を入力するとバリバリという酷い歪みが発生しましたが、リミッターをONにするとほとんど歪みが気にならず、しかも音の強弱(音源の遠近)も損なわれず、不自然さは全く感じられませんでした。これならば常時ONでも問題ないのではないでしょうか。また、用いた音の種類にもよるのかも知れませんが、もともとかなりダイナミックレンジが広く、かなり大きな音でもリミッターのある無しに係わらず歪みにくいと感じました。
梵鐘の音を録ってみようと思いついて、東広島市の竹林寺(篁山)に出かけました。鐘から10mほどの距離から録音しています。ここをクリック(もちろん96kHz24ビットで、25MBほどあります。余韻を長く、鳥の鳴き声も入れています)
内蔵マイクは200〜300Hz以下のレベルが低目になっていますが、それでも付属の風防では十分に風の音を防ぎきれず、風吹きにはあまり強くないと感じました。200Hz以下の音を切るハイパスフィルターを使えばよいのかもしれませんが、フィルターを使わない場合は、より効果的なウィンドジャマーが必要でしょう。
テープを入れ替えたり巻き戻す必要がないなど、DATと比較して使い勝手も良く、扱いも簡単で、時代の差を感じさせます。音声ファイルをパソコンに取り込むのも、USBコードで繋ぐだけでデスクトップ上にハードディスクとしてマウントしてくれるので、ドラッグ&ドロップするだけ。音声は96kHz24ビットでもQuickTimeプレーヤーでそのまま再生できます。(以上MacOSX 10.4.4の場合)個人的にはUSBではなくFireWireだったらもっと良かったと思います。確かに高価で、この点で評価は分かれるかもしれませんが、性能は申し分ないと思います。特にウォークマンタイプのDATの代わりにピッタリです。一度使うとなかなかDATに戻れそうにもありません。
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(ハイパスフィルターに関する追加報告)
内蔵の200Hzハイパスフィルターをon/offして録音を比べてみました。まずoffにしてマイクを団扇であおいでみたところ、低い風の音が盛大に録音されました。しかしフィルターをonにすると、パタパタという音だけでウーファーを揺らすような低音は消えました。次に、フィルターの音質への影響をみるために、いくつかのカウベルを鳴らしてフィルターのon/offの音の差を調べてみたのですが、私の耳では音の差は分かりませんでした。そこでパソコンに取り込んで周波数分析(FFT)してみたところ、このフィルターは150Hzを底にする、100Hzから200Hzまでの幅100Hzの急峻な谷を作り、100Hz以下と200Hz以上の音のレベルには影響がないことが分かりました。上に「フィルターを使わない場合は、より効果的なウィンドジャマーが必要」と書きましたが、音質に全く影響がないとは言えないのでしょうが、厚いウィンドジャマーを使用することによる影響を考えれば、この200Hzハイパスフィルターは積極的に利用する方がよいと思います。
*何か御質問があれば、コメントをお付け下さい。検証可能な範囲でお答えします。
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(リミッターについて追加報告:2007.1.5)
限度ギリギリの大きさのパルス的な音が連続する音源を録音すると、背景の音がそのパルスに追随し息づくように大きさが変化して、とても気持ち悪くなることがわかりました。このような音を録音するときには、リミッターはoffにした方がよいでしょう。
(例)チッチゼミの鳴き声
(24ビット96kHzモノラル/.wavフォーマット)
*(NEW) PCM-D50とPCM-D1の比較はこちら
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(リミッターについてさらに追加報告:2007.11.20)
上に書いた「息づき現象」ですが、どうもノートパソコンにファイルをコピーして再生したときには、リミッターをOFFにしても「息づく」ことがわかりました。ちゃんとしオーディオセットにPCM-D1を直接接続して(ライン入力)聴くと息づきません。つまり、リミーターは「無罪」の可能性もありますので、念のため。オーディオセットでリミッターON録音を再生して息づかないかどうかまだ調べていません。
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» PCM-D1が欲しい [stowaway blog]
PCM-D1はSONYが昨年発売した価格20万円の"ソニーのDNAを受け継いだ"ICレコーダー。大変に性能がいいと思われる。
この製品については読み物としても面白い開発者インタビューがある。
ソニーのアナログな意地、PCM-D1開発秘話(日経ビジネスEXPRESS X)
インタビューアーのソニーに対する懐古的な愛情、ソニーの現状に対する同情と義憤、それに半ばとまどう開発者たちという奇妙なインタビューだが、あとになればソニーの状況を伝える歴史的資料になることだろう。
このインタビューで... [Read More]
Tracked on March 02, 2006 at 11:27 PM

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