ニセ科学/Sep. 21, 2006
今日の朝日新聞に「ニセ科学」と題した菊池 誠氏の論説が出ています。科学には未だに解明されず分からないことが多く、疑問に対して歯切れ悪い答えしかできないものも多いのに、「白黒つける」ことが科学だと思っている人が多く、その「白黒つける」ことがニセ科学の特徴でもあるため、ニセ科学が受け入れやすい土壌ができること、分かりやすく「不思議な」結果だけ話すことは、魔法の話をしていることと同等で、その裏にある「考え方」を伝えなければいけないこと、等が語られています。
セミのホームページを開いていることで、最近マスコミからも取材を受けることも多いのですが、さまざまな現象を「地球温暖化」と結びつけたい傾向があるように感じます。クマゼミの北進、セミの出現(「初鳴き」と言ってもよい)が早くなる等々。「地球温暖化」によってクマゼミがどんどん北に生息域を広げ、セミは早く鳴き出すと言えば非常に分かりやすいのですが、そこには全く「考え方」が示されていません。ソメイヨシノは暖冬の年は早く咲くのでしょうか?今年の冬は暖かかったけれど、寒かった去年よりも開花が遅れたのではなかったでしょうか?ソメイヨシノは寒さを経験しないと花が咲かないことが知られていて、沖縄に植えても開花すらしません。
サクラは開花のメカニズムが分かっているので、このように説明できるのですが、セミの出現が気温に関係することはほとんど分かっていません。多分そうだろうとしか。ましてどの時点の温度が決定的に関与するのかなどということは解明されていないのです。にもかかわらず「地球温暖化によってセミの出現が早くなる」ということを単なる予想、推測のレベルを越えて、あたかも事実のように語ることに恐れすら感じています。
いささか我田引水になりますが、「地球温暖化」の影響が皆無であってもセミの出現が早まる可能性があることは、数学的な事実として証明できるのです(詳しくはここをご覧下さい)。もちろん「セミの出現が地球温暖化の影響と無関係だ」と主張しているわけではなく、私はセミの出現が早まっただけで、地球温暖化の影響と断じることはできないと言いたいのです。
夏休みには多くの御父兄からセミについての質問を受けましたが、疑問に対して「白黒を教えろ」という主旨のメールが多いことにも驚きました。未解明のことです、という解答は嫌われているのでしょうか。「ニセ科学」問題は重要なことですし、科学者の端くれとして今後も取り上げてみたいと思います。

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