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July 15, 2007

「都会にすむセミたち—温暖化の影響?—」

「都会にすむセミたち—温暖化の影響?—」(沼田英治・ 初宿成彦共著/海游舎¥1680)を一気に読み終えました。ここに出てくるセミとはクマゼミのことと理解してよいと思います。まずセミの基本的事項の復習から始まり、クマゼミの各種の生態、大阪市における生息数の増加の問題、年次変動、幼虫期間、飛翔による分布拡散、孵化と湿度の問題、そして温暖化とクマゼミの分布拡大の問題が取り上げられ、順に考察されて行きます。

多くの実験は初宿氏のアイディアの下、大阪市立自然史博物館の活動として一般市民に協力を呼びかけて実施された抜け殻の調査、あるいはマーキング(片っ端から採集し翅にマークしてリリース。後日再採集する)、あるいは大阪市大沼田研究室の研究結果に基づいたもので、それらの結果と解析は科学的にも納得のいくものです。これらの中には今までほとんど実態が分かっていなかったことも数多く、今後のセミの生態の研究の上で必読のものと言ってもよいと思います。

上でも述べたようにほとんどの結果は「クマゼミ」に限定されたもので、そのまま他のセミの生態についても言えるものではないですし、誤解してすべてのセミについて同様のことが言えると勘違いすることは危険ですが、他種のセミの研究にも応用することができることも多いと思われます。

第5章ではクマゼミの幼虫期間について調べられていますが、同じ環境で飼育しても2年から8年(今年出現する可能性もあるので、9年〜)に大きくバラつき、その中で7年(産卵から8年)で羽化する個体が一番多かったことが報告されています。一生は8年(が多い)ということですが、予想外に長い結果が出たように思います。また同じ環境でありながら一生は3年から10年以上までという結果も意外です。

第7章では孵化直後のクマゼミの幼虫が乾燥に弱い実態が実験結果とともに報告されています。しばしばニイニイゼミが東京で減少した原因が乾燥ではないか、と言われていますが、幼虫時代をすごす地中の乾燥ではなく、孵化時の湿度や地表の乾燥が大きく関与している可能性を示唆していて興味深く思いました。

最後の第8章では温暖化とクマゼミの分布拡大の問題が取り上げられていますが、ここだけはやや弱い印象を持ちました。歯切れが悪いと言ってもよいのですが、考えてみれば実験することができない事項であるだけに仕方がないかも知れません。ただし、抜け殻が発見されたことを分布拡大と捉えるような記述があるのですが、クマゼミの‘自主的’分布拡大ではなく、人為的原因で移入された後に定住し世代交代を繰り返すことは、温暖化などによる分布拡大を考える上では分けて考える必要があるように思います。また2030年に東京が大阪のようにクマゼミに席捲される予想を立てていますが、東京においてはミンミンゼミとの関係を無視できず、やや無理があるように感じました。

クマゼミの生態についてこれだけまとまって、科学的に実証して考察した結果は今までなく、非常に貴重だと思います。今後プロアマを問わず、セミの研究をしようと思う人は必読だと思います。その意味では「図鑑・世界のセミ200種」は買わなくても、この本は買うべきです。Tokaithumb


*本の画像は著者の許諾の下で掲載しています。


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Comments

こちらこそ、勝手を申しまして申し訳ございません。

今後ともよろしくお願い致します。

Posted by: Zikade(家主) | November 30, 2007 at 12:10 PM

そうですか。
無理を申してすみませんでした。
御検討、ありがとうございました。

米蝉ナール
http://outdoor.geocities.jp/kawasemisou/index.html

Posted by: N_Y | November 30, 2007 at 07:16 AM

大変失礼致しました。

このページは個人的なブログでして、リンクもすべて私個人が便利なように張っているだけですので、相互リンクは馴染まないと思います。

そもそも白状すると相互リンクという形態自体に興味がなく、「母屋」の方でも一件も相互リンクはないのです(先方が張って下さって、結果的に相互になっているものはあるのかもしれませんが、実態は関知していません)。「母屋」の国内リンクページ自体不要だと思っており、そのうちに削除しようと思っていて、時々お申し出を受けてもすべてお断りしています。

ということで、平に御容赦下さい。

Posted by: Zikade(家主) | November 27, 2007 at 03:41 PM

まぁ、我々も彼らのデーターを存じていますし、
そのうえで、統括的な考察ができればよいと思っています。

ところで、相互リンクについてなのですが、
お願いできないのでしょうか?


米蝉ナール
http://outdoor.geocities.jp/kawasemisou/index.html

Posted by: N_Y | November 27, 2007 at 01:22 PM

N_Yさん、はじめまして。コメントありがとうございます。

生き物の生態観察というものは、多くの観察の中から普遍的な性質を探るものだと思っています。したがって観察結果はすべて貴重なものです。

なかには相反する結果がでることもよくあることです。そして、なぜ反対の結果が出たのか、という視点から新しい発見があるかもしれません。

とんだ釈迦に説法だったかもしれません。失礼しました。

Posted by: Zikade(家主) | November 25, 2007 at 08:31 PM

 はじめまして。私どものホームページでは、京都でのセミ研究の結果を公表しています。この場をお借りして、相互リンクのお願いをしたく投稿させていただきました。お願いできないでしょうか。
 なお、ここに投稿させていただいたのは、ちょうど研究内容が沼田英治、初宿成彦両氏とかぶっているからです。われわれのデーターでは、対照をなす結論が得られています。
 興味を持っていただければ幸いです。
 

Posted by: N_Y | November 25, 2007 at 04:35 AM

shirase さん、はじめまして。都心でもセミはたくましく生きていますが、田舎には違う種類がいて雰囲気が異なりますね。それぞれの環境に適したセミがいるようです。

夜間明かりに飛んできたセミはとまるところを見失うとしばしば壁にぶつかって落下、墜落します。仰向けになっているのはそんなセミたちが多いのです。

Posted by: Zikade(家主) | August 20, 2007 at 05:36 PM

私は、田舎育ちなので都心はセミは少ないと思っていましたが、
意外と昼夜をとはずにセミが鳴いていたのに驚きました。
余談ですが、腹部を向けて死んでいるように見えたセミが私が近づいた直後に飛び立ったのはビックリしました。

Posted by: shirase | August 20, 2007 at 12:29 PM

コメントありがとうございます。

私(東京生まれ東京育ち)の子供時代には都心でもいくらでもいましたが、ちょうど
10代の頃激減したように感じます。

昨年「東京のニイニイゼミが減った、というが私の子供時代から変化は感じない。本当に減ったのか?」という質問を受けました。よく聞いてみるとその人は10代だそうで・・・。生まれたときにはとっくに減った後ということです(笑)。

どうも最近は少しずつ復活しつつある、という報告を聞きます。

全国的にはいまだに普通種でしょう。田舎にはいくらでもいます。

Posted by: Zikade(家主) | July 16, 2007 at 11:52 AM

僕は、ニイニイゼミは、あまり見たことがありません。東京生まれで東京育ちですが、家の周りにニイニイゼミだけはいませんでした。そんな珍しい蝉ではないと思うのですが?

Posted by: OIKAWA | July 16, 2007 at 07:26 AM

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