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December 12, 2007

絶滅への進化?

今月のはじめ朝日新聞に、京都大学霊長類研究所の橋本千絵氏によるチンパンジーについての記事が出ていました。それによると、チンパンジーのメスは一回の発情で、集団内のほとんどの成熟したオスと交尾を繰り返し、それは1日に30回以上、発情期間のおよそ1週間に200回にもおよぶそうです。さらに驚くことに、これだけ多くの交尾をしても妊娠せず、このone setの発情/交尾期間を6回繰り返してはじめて妊娠するというのです。

つまり、チンパンジーは進化の過程で普通に考えれば不利と思われる、「妊娠しにくい」性質を獲得してることになるわけで、実はヒトも程度の差こそあれ、この「妊娠しにくい」性質は同様だというわけです。さらにヒトは目立った発情期すらもたないことも気になります。

理由は未解明かも知れませんが、チンパンジーの場合この性質はきっと種にとって有利に働いてきたのでしょう。ところが、ヒトは急速に脳を発達させ、‘頭でっかち’になったわけで、それによって現在の文明を築いたのです。そしてかつてのヒト、もしくは進化の前の段階の生物が考えもしなかった生活習慣をもっています。つまり、学校教育というシステムをつくって、大学まで行けば二十歳過ぎまでかかり、その後就職してようやく自立できて結婚の準備が整うというわけです。性的に成熟して、生物学的に恐らく最も繁殖に適していると思われる時期に敢て生殖を避けているわけです。最近はその度合いは進んで30過ぎまで結婚しない人も普通ですが、これはやはり種として不利なことだと思わざるを得ません。もともと、「妊娠しにくい」性質がある上に、さらに繁殖期間を短くするようにしているわけです。

むかし、ヒトは草原や森で木の葉や枝を使った簡単な「巣」をつくり、狩猟をしたり、木の実をとったりして生活していたのでしょう。その時にはチンパンジー同様「妊娠しにくい」性質があっても大丈夫だったし、むしろ何らかのメリットがあったのかも知れません。しかし、たった数千年か一万年の間に生活様式をがらりと変え、ペアを組んで繁殖するためには「職」につく必要があり、そのためには「学歴」が必要だなどというシステムを作ってしまったのです。これは進化のスピードとは桁違いのスピードの変化であって、「妊娠しにくい」性質はヒトにとって致命的なことにならないかと心配になります。いや、つい100年前、日本では「ねえやは15で嫁に行って」いたのだとすれば、問題はこの100年で起きたのかも知れません。この頃は7人8人などという多数の子供がいる家庭も決して珍しくなかったのです。

「避妊」などという概念はヒト以外にはありませんし、これもヒトが「頭でっかち」ゆえに生まれたことなのではないのでしょうか。(誤解しないで頂きたいのですが、「避妊」がいけないと言っているのではありません。)十代で避妊をしないで子供を産むという、現代社会で問題視される行動が、ヒトという種にとっては好ましい行動だとすれば、皮肉なことです。

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