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July 2008

July 28, 2008

古風な夏

今年は気象庁の発表はさておき、広島の実質的な梅雨明けが7月7日頃で、それ以来連日真夏の日光が降り注いでいます。寒冷な東広島市/西条では例年(と言っても私が知っているのは2001年以降ですが)、熱帯夜(最低気温が25度以上)は年に1回か2回です。昨年はあれほど暑い夏と言われていても熱帯夜はゼロ。ところが、今年は今日までにすでに3回の熱帯夜を経験していますし、そのうち昨日今日は二日連続という快挙(!?)*)。盆地の西条ではピーカン(快晴)だと昼がどんなに暑くても夜は25度以下に下がるのです。夜間に雲が出て放射冷却が減るのが熱帯夜になる条件になっているようです。そんなわけで、個人的には今年の方が梅雨明けが遅かった去年よりもかなり暑く感じます。まだ丸ごと8月が残っているのに、随分夏を過しているような気がします。同じ暑さでも7月中の暑さは格別で、若くてピチピチしていて刺激的です。

とはいえ、夏の大好きな私は「暑い暑い」と言いながらも長い夏を楽しんでいます。昨日の午後は大きな入道雲が真っ青な空を背景にモクモクとそそり立っていて、そんな空を眺めているうちに急速にタイムスリップ。久しぶりにこんな夏の空を見たような気がしました。昔私が子供の頃、夏と言えば青い空と入道雲だったように思います。しかしそんな風景が見られない夏がここ何年も続いていたような、そんな気がしました。紋切り型の夏とも言えますが、どこか古風な夏もいいものです。

*)今日(29日)データを見たら、両日とも25度以下に修正されていました。ということで、29日現在で今年の熱帯夜は1日だけです。

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July 21, 2008

17年と13年だけ大発生?素数ゼミの秘密に迫る!

☆今後しばらく書き足したり、書き直したりする予定です。興味のある方はしばらくたったら再度御訪問下さい。
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Yoshimura

吉村 仁氏の「17年と13年だけ大発生?素数ゼミの秘密に迫る!」(サイエンス・アイ新書/ソフトバンク・クリエイティブ)が送られてきましたので、さっそく読んでみました。内容は、

プロローグ:セミの大発生に街は大騒ぎ!
第1章:日本のセミと素数ゼミの違い
第2章:素数ゼミの秘密に迫る!
第3章:素数ゼミを追って!
第4章:素数ゼミの謎はどこまで明らかになったか
第5章:進化の歴史とムシの多様性
第6章:メスの「オス選び」と種分化の歴史
第7章:素数ゼミの秘密はどうして解けたのか

となっています。素数ゼミというのは吉村氏の造語(というと悪いニュアンスがありますが)で、通常は周期ゼミと呼ばれる米国にいるセミのことで、詳しくは私の解説ページをご覧下さい。

やはり読みごたえのあるのは第2章から第4章で、とくに第3章は採集記とでもいうようなもので、初めて周期ゼミの大発生を前にした著者の感激が伝わってきます。第4章では米国の研究者の考えも紹介され、周期ゼミの系統分類や遺伝子浸透仮説が解説されています。周期ゼミの周期性への進化のしくみについての理論は上にリンクした私のページにもある、氏の論文や前著「素数ゼミの謎」(文藝春秋社)と基本的には変わりませんが、さらに様々な状況証拠から証拠固めをした、という感じでしょうか。前著はどちらかと言うと子供向けでしたが、この本は大人向けです。

第5章では北米やヨーロッパでは、日本に比べて昆虫の種数/面積が著しく低い理由や日本のツヅレサセコオロギの種分化の仮説が解説されます。第6章ではメスの「オス選び」が種分化にとって大切なポイントになっているだろうということが解説されています。

この本で扱われていることの多くは長い歴史的な進化のしくみにかかわることなので、証明できないわけですが、氏の理論は非常に説得力のあるものだと思いますし、これは仮説だということを明示してある姿勢はどこぞの本とは大違いです。しかし敢て苦言を呈すると、周期ゼミ以外の記述、特に日本のセミについての記述に納得できないものが多いのも事実です。

マツムシの説明にアオマツムシの写真が載っていたり、「ハルゼミの仲間は日本に3種」などと言うのは御愛嬌としても(ハルゼミ属は2種。ヒメハルゼミ属を含めても4種)、ハルゼミの仲間は「春の風や雑音にまぎれ」、「鳴いていてもほとんど気づかない」、「どれも地味な鳴き声」というのは、いささか首を傾げるところです。ハルゼミ類、ヒメハルゼミ類が知られていないのは、生息環境が特殊(いや、アブラゼミ、ミンミンゼミやクマゼミのように都会の真ん中で鳴く方がよほど特殊なのかもしれませんが)だからで、決して鳴き声が地味だとは思いません。それどころかエゾハルゼミの鳴き声は日本産のセミの中でも最もエキセントリックなものだと思います。個人的印象・感覚の問題かもしれませんが。

第5章では米国のセミが日本のセミと比較して単調な鳴き声をしている理由を考察していて、同所的に生息するセミの種数が少ない米国では鳴き声が単調になり、種数が多い日本では他種との鳴き分けが必要なので複雑になるという論法で、その最たる例としてツクツクボウシを挙げています。しかしそもそもツクツクボウシは日本固有種ではないのですし、種数の多い日本でもエゾゼミ類(全5種)、ニイニイゼミ類(5種+ケナガニイニイ属1種)、チッチゼミ類(全2種)、スジアカクマゼミなどは単調です。他種と同所的に生息することの多いアブラゼミ、クマゼミにしても複雑な鳴き声だとはいえません。台湾では50種を越えるセミがいますが、ツクツクボウシを越える複雑な鳴き声のセミはいません。そもそも私はツクツクボウシは突出して複雑な鳴き声で、ここまで複雑になる理由は単に他種との競合だけで論じられるものなのかなと思っています。いずれにせよ、氏のおっしゃる理屈はよくわかりますし、説得力もあるのですが、少々現実とのギャップを感じます。

かつて私はエゾゼミとキュウシュウエゾゼミにそれぞれの鳴き声の録音を聞かせたことがありますが、かれらは見事に聞き分けていました(同種の鳴き声を聞くと鳴き出す)。人には単調に聞こえる鳴き声でも、彼らは自分の鳴き声の中に聞き分ける仕掛けを仕込んでいることが最近分かっているのです。

もう一点、第1章ではクマゼミが地域で鳴き声が異るということが述べられていますが、これは全くの誤認だと言わざるを得ません。八重山諸島から本州産まで全く違いは見出せません。周波数分析を行っても大きな違いは見られません。いわゆるオノマトぺの違いと実際の鳴き声の違いを混同されているのでしょうか。

このように問題も感じますが、周期ゼミの話を中心にして全体の大きな流れは非常に興味深く、いろいろと示唆に富む内容で、一読する価値は十分あると思います。問題点を書いた文章が非常に長くなりましたが、決して本書が問題点ばかりということではありません。おすすめの一冊です。

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周期ゼミ相互、あるいは他種(チッチゼミ属)との関係をDNAによって探ることが述べられていますが、セミに限らず分類学では形態(たとえば生殖器)の比較を用いた分類、もしくはDNA分析との併用が重要だと言われています。この本ではそのような形態からの比較については全く触れられていませんが、どのようになっているのかな、と思いました。

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July 16, 2008

iPhone騒動雑感

先週からiPhoneの話題で持ちきりです。先週の土曜日にあるカメラ量販店に行く用があったのですが、携帯電話のコーナーを通りすぎたときに、なんとiPhoneの実機がサンプルとして置いてあるのを発見し、ちょっとだけさわってみました。また、ネット掲示板などでの情報からどうも私は大きな勘違いをしていたのだと気づきました。

つまり、iPhoneはアップルが得意の工業デザインや、ソフトを使って使いやすく、カッコイイ携帯電話を作ったということにとどまらず(勿論それらは当然ですが)、携帯端末(それもアップル流の)を作ったということです。ターゲットはどこでもMacと同様の感覚でネットに接続し、メールをのやり取りをしたい人であって、私のように主に電話だけしか使う人ではないのです。

ひるがえって私のことを考えると、仕事場でも家でも常に横にMacが置いてあってネットに繋がっている状態。パソコンを持って外出する機会は年間を通じてそう多くはありません。携帯電話も電話とショートメッセージサービス(SMS)しか使わず、パケット契約はしていません。要するにほとんどいつもMacや固定電話の横にいるので、わざわざ携帯の小さな画面でネット接続する必要もないし、携帯で電話を受ける必要もないのです。では携帯は何に使っているのか、というとフィールドに出て(要するにセミ採り・撮り・録りだ)何かあったときの緊急連絡用、外出しているときに「カエル・コール」したりするとき。ですから、私の携帯番号を家族以外で知っている人は多分多くても数人。携帯を持って行かないことも多いので、私と話すのに携帯の方に電話する意味はほとんどないのです。

そんな私でもあのカッコイイiPhoneを「電話として」使ってみたいと思ったのですが、もしかするとこれはフルハイビジョンのテレビを買って、地上アナログ放送あるいは画面を消して音声だけ聞くと言っているようなものなのかもしれません。ただし、二十年前にMacを使い始めた頃、当初想像していたことを越えていろいろな用途に使ってきたことを思い出すと、iPhoneも使うと用途が生まれてくる可能性は高いと想像します。それこそがアップルの考える未来なのでしょう。

ともあれ、しばらく重大な関心を持って静観してみようと思います。

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July 11, 2008

蝉時雨

「蝉しぐれ」というと、藤沢周平の時代小説です。原作を読んだことはありませんが、NHKで映像化されましたし、映画にもなりましたのでご覧になった方も多いでしょう。個人的にはNHKの方が配役を含めてよかったと思っています。あの話では無実の罪で死罪になった父親の遺体を引き渡された主人公が、遺体を載せた手押し車を一人でひき、林の中の上り坂にさしかかって、車を引っぱり上げることができず惨めな気持ちになる場面で、蝉時雨がその心象を表現するモチーフとして効果的に使われていたようです。前に外国人からメールで、この映画について聞かれたことがあって、その時の返信を元にして下手な英語で書いたページがこちらにありますので、よろしければご覧下さい。

今から20年ほど前までは東京の実家でも夏には隣家の木々で多数のアブラゼミが大合唱をし、窓を大きく開けてその鳴き声を聞きながら昼寝するのが何とも気持ちが良かったものです。しかし、熊本に住むようになって、「本当の」蝉時雨は規模が全く違うことを知ったのです。山全体が鳴り響く様子を想像してみて下さい。何も大袈裟なことを言っているのではないのです。文字通り山全体が一斉に鳴るのです。

その鳴き声の主はヒメハルゼミというセミ。細い華奢な感じの小さ目のセミですし、個別の鳴き声はやや濁った声でヴィーン・ヴィーン・・・と抑揚をつけて鳴き、決して美声ではないのですが、一匹が鳴き始めるとそれにつられて全体のセミが唱和する性質があるので、静まり返っていた山が突然シャーーーというウェーブに飲み込まれ、数分すると鳴きやんで何事もなかったかのように元の静けさに戻るという鳴き方をします。知らない方は「何事が起こった?」と思うでしょう。アブラゼミやミンミンゼミなどのように一日中鳴いていれば、セミがいることが分かるのですが、ヒメハルゼミの場合は初めて聞いた方はセミとは思わないかもしれません。昼過ぎから間欠的に合唱するのですが、日没後まだ明かりが残っている黄昏に、20〜30分ほど全山のセミが大合唱するさまはすごいものがあります。

話が長くなりましたが、この体全体を包まれる感覚は非常に感動的です。たかがセミの鳴き声で、と思われるでしょうが、これは経験した人でなければわからぬ感覚で、これに似た経験を強いてあげると、マーラーの第8交響曲を聞いたときだと思います。マーラーは「大宇宙が響き始める様子を想像して下さい」と書きましたが、この曲ではバンダ(客席後方などステージ外で演奏する奏者)とステージの演奏によって、音で包まれる感じがする部分があるのです。

このヒメハルゼミ、どこにでもいるセミではなくシイやカシの自然林が絶対条件ですので、多くの場合は神社の社叢(鎮守の森)にすんでいます。春日大社(春日山)、伊勢神宮、厳島神社(宮島)など・・・。

私は毎年この季節になると宮島に通い、蝉時雨を聞いています。体中の毛穴から老廃物が出ていって、清められるような気がするのです。「その光をもて我らが五感を高め」(マーラー第8交響曲の一節)。このセミの大合唱を聞いていてふと気がつくと涙が出そうになっています。

写真は羽化した翌日のヒメハルゼミ(左:オス、右:メス)。メスの方が大きく写っていますが、実際はメスの方が小さいです。これらの産地は宮島ではありません。

Hmale Hfemale

宮島で録音したヒメハルゼミの合唱(2008年7月。.wavファイル。モノラルに変換)はこちらをクリック。なかなか包み込まれる感覚を録音することは難しいです。

*録音や画像を無断で転載したり、コピーしたりすることを禁じます。

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July 03, 2008

夏の予告2:公開講演会

公開講演会でお話しすることになりました。入場無料ですので、よろしければ私の顔を見にいらして下さい。会場は広島大学東広島キャンパス内の総合博物館隣の教室ですが、どなたでも入場できます。

なお、まだ詳細は未定ですが、この講演会の前後の期間、同博物館内で私のセミの生態写真のミニ写真展を開催する企画が進行中です。

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*クリックすると大きくなります

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「西の魔女が死んだ」(7月4日追記)

「西の魔女が死んだ」という映画を見てきました。不登校になった中学生の女の子「まい」が山の中に一人住む母方のお祖母さん(外国人教師として来日したイギリス人で、赴任先の理科の先生(故人)と結婚)の家にしばらく預けられるというお話し。お祖母さんの家の隣人とのかかわり等を通して「魔女修行」して、学校でのいじめの問題を解決していこうとする過程を豊かな自然の中で描いています。映画の中ではカッコウの鳴き声、ホトトギスの鳴き声があたかも何かを象徴しているかのような(ライトモティーフ)使われ方をしているのが印象的でした。単に山の自然を表現するためだけではないような気がしました。山梨県でロケされたようですが、郵便配達屋さんが2度目に訪問する場面で、バックにエゾハルゼミの合唱が聞こえていました。

カッコウの鳴き声はこちら(広島県にて録音)(.wavファイル)
ホトトギスの鳴き声はこちら(広島県にて録音)
エゾハルゼミの鳴き声はこちら(広島県にて録音)

------以下7月4日追記------
お祖母さん役はシャーリー・マクレーンのお嬢さんです。日本で幼少期を過したことのある彼女は非常に日本語が堪能で、まさに適役。イングリッシュ・ガーデンを思わせる素敵な「絵」も美しい映画です。

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July 01, 2008

ネジバナ

先週から家の周辺でネジバナが咲き始めました。一つ一つはとても小さい花ですが、よく見るとまぎれもないラン(蘭)であることがわかります。根は菌類と共生しているそうで、鉢植えにすることは難しいようです。


Nejibana1 Nejibana2

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