「虫捕る子だけが生き残る」
養老孟司・池田清彦・奥本大三郎共著「虫捕る子だけが生き残る」(小学館101新書ISBN978-4-09-825014-1 ¥700+税)を読みました。三人の鼎談を収めたもので、一言で言って「言いたい放題」。虫の話が中心線に入っていますが、脱線につぐ脱線。地球環境/温暖化問題から道路行政、教育問題と幅広い。これを読んでいて思い出したのですが、かつて私が大学生だったとき、学科の事務室の隣に先生達のたまり場・談話室のような部屋があって、よく何人かの教授達がパイプの煙をモクモクさせながら雑談していたのですが、隣の図書室で盗み聞くわけでもなしに聞こえてくる話が実に面白いのです。とにかく昔の大学教授には今とは段違いに博識な人がいて、そんな人が何人か集まっているのですから面白くないわけがないわけです。話のテーマも実に多彩で、幅広いものでした。
この本もそんな雰囲気がいっぱいです。「虫捕る子だけが生き残る」というのは過激な表現に聞こえるでしょうが、象徴的に言えば、虫捕りに限らず何事でも、机に向っているのではなく、外に飛び出して手を動かしなさいということ。概念論・観念論では本質はつかめないということです。
かねてより私も言っているのですが(こちらの【Q16】をごらんください)、「かわいそう」なことは実際に「かわいそうなこと」をして初めて理解できることで、親に言われたり、本で読んで理解することではないのです。虫を捕って親から「かわいそう」だと言われても子供はそれが「かわいそう」というレッテルが貼られるべきことだとは分かっても、真に「かわいそう」の本質を理解できないのです。「虫捕る子だけが生き残る」とは、虫を捕って「かわいそうな」ことをして育った子だけが「かわいそう」を理解できる大人になれるという意味です。この「かわいそう」は別の単語で置き換えてもよいでしょう。
言いすぎの部分もあると思いますが、この三人のおしゃべりは、実際にその場にいたいような気にさせる面白さです。虫捕りに関心のない方にもおすすめの一冊です。私は生き残れると思います(笑)。

Comments
コメントありがとうございました。
そうですね。言いたい放題、大放言の感がありますが、横で聞いていたら面白かったでしょう。時々つっこみを入れたりしながら。
レビュー
http://ohrwurm.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-909d.html
読ませていただきました。
Posted by: Zikade(家主) | December 29, 2008 at 11:03 PM
遅ればせながら、ぼくも読みました。
大変面白かったですけど、不用意で勇み足のような発言もかなり多かったと思いました。
自然物の実物に接する体験が重要だ、ということが基調となっていることはよくわかりました。これには、全く同意します。
Posted by: Ohrwurm | December 29, 2008 at 07:47 PM